光輝


そこまで広くはないが、試衛館を1人で掃除するのは一苦労である


おふでさんは、テキパキと床を拭き、庭を掃き、埃を叩き、あっという間に掃除が終わった


その間、特に変わった様子はなく、ただぼそっと「はぁ、なんでこんなに肩が凝るのかしら」と呟くくらいだった



掃除が終わると、今度は昼餉の支度を始める



昼は朝夕と違い、稽古をしているため、おにぎりを握って道場に持って行っているようだ


ぱっと手際よくおにぎりを握ると、大きなお盆にたくさんのおにぎりを乗せて道場へ向かった



「皆さんお疲れ様です。こちら召し上がってくださいな」


おふでさんが声をかけると、わらわらと門下性たちがおにぎりを貰いに来た


と言っても、人数はちょっとしかいなさそうだが



勝太もおにぎりを貰い、私のそばへ来てコソコソっと話しかけてきた



「何か変わった様子はあっただろうか?」


「うーん、今のところは」



それを聞いて少しだけ残念そうな顔になる勝太


全くわかりやすいやつめ



私は勝太の背中をポンと叩いた


「まだ半日ある。わたしに任せなさい」

「おお!それは頼もしいな!よろしく頼む!」


勝太はまた笑顔に戻り、おにぎりを口いっぱいに詰め込むと、稽古に戻っていくのであった



さて、わたしも観察に戻ろう



次はというと……


「はぁ、夕餉の買い物に行かないと」



おふでさんの後を追って、街へ出るのであった

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