アジアン・プリンス
ティナはアンナの怒声に目を丸くした。


(この大男を怒鳴りつけるなんて……)


ティナの場合、ニックのような大柄な男性が横に立つだけで萎縮してしまう。


「部屋に戻るわ。じゃ、後で会いましょう、ティナ」

「え、ええ」


遠目にはライトに反射して白に見えたが、実際にアンナが着ているのは、シャンパンゴールドのイブニングドレスだった。

Aラインでストンとしたデザインは、アンナの素晴らしいプロポーションを際立たせている。それはドクターと言うより、まさにファッションモデルのようだ。8頭身の見事なスタイルと異国情緒が溢れる容貌。そのミスマッチが、余計にアンナを魅力的に見せていた。


ティナがアンナに見惚れていた同じ時間、ニックも彼女を見ていたように思えた。気のせいだろうか……。


「あ、あの」

「失礼しました。どうぞ、こちらです」


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