アジアン・プリンス
ティナの正面に男性の顔があった。
それは彼女が知っている誰とも違う、確固たる意思と揺るがぬ信念がその顔つきに表れていた。
この暗闇では、髪や瞳の色はよくわからない。でもこの人は、周囲の悪意によって、たとえボロボロに汚され傷つけられたとしても、決して誇りと名誉は捨てない人だ。何者も侵すことのできない聖域に存在する、稀有な人間に違いない。そう直感する。
ティナはひと言も発せず、男性の顔を見つめ続けた。
すると、彼のほうが先に口を開きかける。だが……。
「殿下っ! 女性の悲鳴が聞こえましたが、何ごとですか!? レイ皇太子殿下、ご無事ならお応えください!」
周囲の空気は一瞬で張り詰め、中庭に緊張が走った。
さらに、その声に被さるように、警備の者が駆けつける。サーチライトで照らされ、煌々とした光に、自分を抱き上げる男性、レイ皇太子の姿が浮かび上がった。
青だ――その目は見事なほどのオーシャンブルーだった。
それは彼女が知っている誰とも違う、確固たる意思と揺るがぬ信念がその顔つきに表れていた。
この暗闇では、髪や瞳の色はよくわからない。でもこの人は、周囲の悪意によって、たとえボロボロに汚され傷つけられたとしても、決して誇りと名誉は捨てない人だ。何者も侵すことのできない聖域に存在する、稀有な人間に違いない。そう直感する。
ティナはひと言も発せず、男性の顔を見つめ続けた。
すると、彼のほうが先に口を開きかける。だが……。
「殿下っ! 女性の悲鳴が聞こえましたが、何ごとですか!? レイ皇太子殿下、ご無事ならお応えください!」
周囲の空気は一瞬で張り詰め、中庭に緊張が走った。
さらに、その声に被さるように、警備の者が駆けつける。サーチライトで照らされ、煌々とした光に、自分を抱き上げる男性、レイ皇太子の姿が浮かび上がった。
青だ――その目は見事なほどのオーシャンブルーだった。