アジアン・プリンス
アサギ島より、もっと白い砂浜だった。
足跡がひとつだけ……。ティナはそれを辿って海辺に近づいて行く。
寄せては返す波は穏やかで、まるで湖のようだ。潮の香りがしなければ、そこが海だとは思わなかっただろう。
その時、不意に海水が盛り上がる。
姿を現したのは、チョコレートブラウンの髪を持つプリンス・レイだった。
セラドン宮殿のプールとは違い、レイは薄い水色のサーフパンツ姿だ。水を弾いた肌は日に焼けて、男の色香を漂わせている。
サバナ気候独特の乾いた陽射しに、ティナは目を細め、右手で影を作った。
その手首にはブルーの光を反射したアズライトのバングルが輝き……。
「おはよう、ティナ。気分はどうだい?」
「……最低よ」
まるでふたりの間には何事もなかったかのようだ。そんなレイの笑顔にティナは短く言い返し、口をきつく結んだ。
足跡がひとつだけ……。ティナはそれを辿って海辺に近づいて行く。
寄せては返す波は穏やかで、まるで湖のようだ。潮の香りがしなければ、そこが海だとは思わなかっただろう。
その時、不意に海水が盛り上がる。
姿を現したのは、チョコレートブラウンの髪を持つプリンス・レイだった。
セラドン宮殿のプールとは違い、レイは薄い水色のサーフパンツ姿だ。水を弾いた肌は日に焼けて、男の色香を漂わせている。
サバナ気候独特の乾いた陽射しに、ティナは目を細め、右手で影を作った。
その手首にはブルーの光を反射したアズライトのバングルが輝き……。
「おはよう、ティナ。気分はどうだい?」
「……最低よ」
まるでふたりの間には何事もなかったかのようだ。そんなレイの笑顔にティナは短く言い返し、口をきつく結んだ。