アジアン・プリンス
(37)アズル・ブルーの誓い
「お姫様はおかんむりだ。どうやらお腹が空いているらしい。アーレットの朝食は口に合わなかったのかな」

「いいえ。美味しかったわ」

「それはよかった」


レイはティナの腰に手を添えると、ごく自然に木陰に誘導した。

確かに、ティナの抜けるような白い肌に、この陽射しは辛い。日焼け止めも塗ってはおらず、大きな帽子とサングラスが欲しい所だ。

或いはレイのように水着を着て、サンオイルを塗り、彼の横で……。


「ティナ……昨夜のことだが。私は君を傷つけたくはなかった。それはわかってくれるね」


レイはティナの体の火照りを冷ますと言った。そして、その通りのことをした。

彼は指だけで、ティナの官能を呼び覚まし、極限まで引き上げて翻弄した。ティナはされるがまま、シーツの上で身悶え、愛を叫んだ。

そんなティナの恥ずかしい姿に、レイは息ひとつ乱さすことはなかった。


「私の何を傷つけなかったつもり?」

「色々だ。心も体も、そして」

「心ならボロボロよ! もう立ち直れないわ。魅力がないならそう言ってくれたら良かったのよ。無理にあんなことまで……して欲しくなかったわ」


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