アジアン・プリンス
(40)子供の父親
レイの顔から不快感が滲み出ている。
それはいつもの彼らしくなかった。責任の所在はともかく、これ以上レイを困らせるべきではない、ティナはそう考えた。
「わかったわ。セラドン宮殿に滞在します。だから、早く行って下さい」
ようやくレイの相好が緩む。
「――スザンナ! ミス・クリスティーナ・メイソンをセラドン宮殿に案内してくれ。彼女はそこに滞在する」
「殿下。ミス・メイソンでしたら、私が」
そこにニックが口を挟んだ。
だが、
「いや、いい。ニック、君には話がある。スザンナ、頼んだぞ。――誰か! 至急、医者を呼んで来い」
有無を言わせぬ厳しいレイの言葉に、女官のひとりが弾けるように走り出した。ニックもレイの叱責を覚悟したのか、その場に固まっている。
「ティナ、ありがとう――本当にすまない。今は、許してくれ」
レイはティナの頬に軽く触れた。そして部屋に……ミサキの元に戻ったのである。
それはいつもの彼らしくなかった。責任の所在はともかく、これ以上レイを困らせるべきではない、ティナはそう考えた。
「わかったわ。セラドン宮殿に滞在します。だから、早く行って下さい」
ようやくレイの相好が緩む。
「――スザンナ! ミス・クリスティーナ・メイソンをセラドン宮殿に案内してくれ。彼女はそこに滞在する」
「殿下。ミス・メイソンでしたら、私が」
そこにニックが口を挟んだ。
だが、
「いや、いい。ニック、君には話がある。スザンナ、頼んだぞ。――誰か! 至急、医者を呼んで来い」
有無を言わせぬ厳しいレイの言葉に、女官のひとりが弾けるように走り出した。ニックもレイの叱責を覚悟したのか、その場に固まっている。
「ティナ、ありがとう――本当にすまない。今は、許してくれ」
レイはティナの頬に軽く触れた。そして部屋に……ミサキの元に戻ったのである。