アジアン・プリンス
相手がレイであるはずがない。
7年前に会ったきりの女性を、妊娠させられるわけがないだろう。
だが、これで破談にするのは簡単になった。ミサキの不義を日本政府に突きつければ、アズウォルドの国益を損ねることなく、婚約は解消できる。
有利な立場で条件を提示すれば、花嫁問題はほぼクリアとなるだろう。だが……。
『レイ皇太子殿下を、頼れる筋合いではないとわかっております。本当に申し訳ありません。でも、彼を愛してしまったんです。両親に子供のことを話しました。でも、産ませるわけにはいかない、と言われ……』
ミサキは必死だった。お腹の子供を守るため、恥を忍んでレイに助けを求めた。
遠野の家は格式も高く裕福だった。20年前、バブル景気で土地に投資するまでは。傾いた経営状態のところに、降って湧いたように娘の縁談が持ち上がる。
相手は貧しい国の皇太子。前国王をテロにより殺されたばかりだ。周辺海域は鮫の周回コースでもあり、あらゆる意味で危険な島国と彼らは聞いていた。
だが取引条件は、彼らにとって非常に美味しいものばかりだった。
なんといっても娘はまだ9歳。開発計画が頓挫すれば、娘が成人するまで存続しているかどうかわからない王室だ。ならば、婚約くらい……。
わずか数年後、彼らの予想に反して、アズウォルドは恐ろしいほど豊かな国となった。しかも、レイ皇太子は世界中から注目を浴びる傑出した人物だ。
そして、その恩恵を彼らは充分に受けていた。いや、今も受け続けている。もし破談となれば……彼らの生活は180度変わってしまうことになる。
7年前に会ったきりの女性を、妊娠させられるわけがないだろう。
だが、これで破談にするのは簡単になった。ミサキの不義を日本政府に突きつければ、アズウォルドの国益を損ねることなく、婚約は解消できる。
有利な立場で条件を提示すれば、花嫁問題はほぼクリアとなるだろう。だが……。
『レイ皇太子殿下を、頼れる筋合いではないとわかっております。本当に申し訳ありません。でも、彼を愛してしまったんです。両親に子供のことを話しました。でも、産ませるわけにはいかない、と言われ……』
ミサキは必死だった。お腹の子供を守るため、恥を忍んでレイに助けを求めた。
遠野の家は格式も高く裕福だった。20年前、バブル景気で土地に投資するまでは。傾いた経営状態のところに、降って湧いたように娘の縁談が持ち上がる。
相手は貧しい国の皇太子。前国王をテロにより殺されたばかりだ。周辺海域は鮫の周回コースでもあり、あらゆる意味で危険な島国と彼らは聞いていた。
だが取引条件は、彼らにとって非常に美味しいものばかりだった。
なんといっても娘はまだ9歳。開発計画が頓挫すれば、娘が成人するまで存続しているかどうかわからない王室だ。ならば、婚約くらい……。
わずか数年後、彼らの予想に反して、アズウォルドは恐ろしいほど豊かな国となった。しかも、レイ皇太子は世界中から注目を浴びる傑出した人物だ。
そして、その恩恵を彼らは充分に受けていた。いや、今も受け続けている。もし破談となれば……彼らの生活は180度変わってしまうことになる。