アジアン・プリンス
レイは深いため息をついた。

口元を引き締め、ニックと向かい合う。


「ニック。君は“皇太子命令”と偽り、ヘリを出し、王宮にティナを引き入れた」

「はい」

「私はそんな命令を出してはいない」

「はい」

「サトウが君のやったことを知れば、非常に悲しむだろう」

「父は、なんの関係もありません」

「わかっている」


(いつからだろう、ニックとこれほどまでに他人行儀になったのは。昔はもっと……)


懐かしい思い出を意識から追い出し、レイは厳しい声で命じた。


「今日は休暇を取っていたな。このまま休暇を満喫したまえ。下がってよい」


無言で頭を下げ、ニックは出て行くだろうと思われたが、


「殿下! ひとつだけ。ひとつだけ言わせてください!」

「なんだ?」


< 191 / 293 >

この作品をシェア

pagetop