アジアン・プリンス
現国王の結婚が成立しなかった場合、もしくは、レイが王制廃止に向けて本格的に動いた場合、議会が承認してもチカコが黙ってはいないだろう。

日本をバックにソーヤを次期国王に押し立てるに可能性が高い。

そして、野心家のサー・トーマス・スタンライトも行動に出るはずだ。彼の母と妻はアメリカ人。当然、アメリカは彼の後ろ盾をするだろう。


ティナはその説明を受け、にわかに恐ろしくなった。


まさか……まさかとは思うが、アズウォルドには海底油田という金脈がある。

利権が絡むと人間は恐ろしい生き物だ。後継者争いの内紛が内戦となり、大国の干渉を受け、かつての漁業権のように取り上げられる可能性もある。

そしてティナがレイの妻であれば……。

間違いなく彼女の父メイソンも参戦するはずだ。あの男が金儲けのチャンスを逃すはずがない。


――アズル・ブルーの海を血で汚さないためなら、私は何でもする。どんな犠牲も厭わない。


レイに甘え、彼の愛をねだった。その結果、ティナはレイの中にある気高く高邁な精神に目隠しをしてしまったのだ。ティナは自分が堕天使のように思えてくる。


「クリスティーナ様、お願いでございます。どうぞこのまま……アメリカにお戻りを!」


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