アジアン・プリンス
レイはその時にすべてを明らかにするつもりだ。

すぐに準備にかかるよう、サトウには成田からメールで命令を送っておいた。


今回、サトウを同行しなかったのはこのためだ。

レイの王室法改正について、サトウが反対してくることは容易に想像できた。そして、日本で行った抜き打ちの記者会見。

サトウなら、こういった手段に出たレイを叱るはずだ。

つい先日、マスコミを抑えるのに権力を行使したことについて、説教されたばかりである。


だが、いざと言う時に頼りになり、すべてを取り仕切ってくれる人物。それはサトウをおいて他にはいない。

後はサトウに任せ、到着までひと休み……レイがそう思ったとき、


「殿下!」


サトウの代わりの補佐官が早足でやって来る。どうやら、まだ休めないらしい。


「何ごとだ?」

「王宮から緊急連絡が入っております」


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