アジアン・プリンス
出国ゲートをくぐる。係員の女性は終始笑顔で、お役所仕事的なものは全く感じられない。白いタンクトップに淡いピンクのミニスカート、髪には南国風の紫がかったピンク色の花を挿した健康的な女性だった。
彼女はティナにスマートとは言い難い英語で「素敵な想い出はできましたか?」と尋ねてきた。
ティナは微笑んで答える――「ええ、とっても」
「ぜひまたお越しください」
ゲート係員の女性は日に焼けた顔でにっこりと笑った。
ティナは来た時と違って、観光ゲートを通り抜けた。そして、大勢の一般客と同じくフェリーに乗船する予定だった。
しかし、そこは予想外にも多数の観光客でごった返していたのである。
それは、アメリカ人のティナには経験のないもの。日本がちょうど大型連休の真っ最中だとは思わない。ゴールデンウィークと呼ばれ、アズウォルドにとっても1年で最も多く日本人の訪れる時期だった。
近場でゆったりと遊べ、しかも日本語が通じる。日本人にとってアズウォルドは、常に1、2位を争う人気の国だ。
普段ならすぐに乗れるフェリーに、1時間近く待たされ……。ようやく乗れたのは、予約したニューヨーク行きの出発40分前だった。
(大丈夫よ。15分、掛かっても20分もあれば海上エアポートに到着する。急いでチケットを交換して……そうしたら、もう2度と)
フェリーの中でもジッと座っていられず、ティナはデッキに出た。
風に当たり、アズル・ブルーの海に別れを告げる。そして、そっと擦った右手首には、アズライトの埋め込まれたバングルがあった。
彼女はティナにスマートとは言い難い英語で「素敵な想い出はできましたか?」と尋ねてきた。
ティナは微笑んで答える――「ええ、とっても」
「ぜひまたお越しください」
ゲート係員の女性は日に焼けた顔でにっこりと笑った。
ティナは来た時と違って、観光ゲートを通り抜けた。そして、大勢の一般客と同じくフェリーに乗船する予定だった。
しかし、そこは予想外にも多数の観光客でごった返していたのである。
それは、アメリカ人のティナには経験のないもの。日本がちょうど大型連休の真っ最中だとは思わない。ゴールデンウィークと呼ばれ、アズウォルドにとっても1年で最も多く日本人の訪れる時期だった。
近場でゆったりと遊べ、しかも日本語が通じる。日本人にとってアズウォルドは、常に1、2位を争う人気の国だ。
普段ならすぐに乗れるフェリーに、1時間近く待たされ……。ようやく乗れたのは、予約したニューヨーク行きの出発40分前だった。
(大丈夫よ。15分、掛かっても20分もあれば海上エアポートに到着する。急いでチケットを交換して……そうしたら、もう2度と)
フェリーの中でもジッと座っていられず、ティナはデッキに出た。
風に当たり、アズル・ブルーの海に別れを告げる。そして、そっと擦った右手首には、アズライトの埋め込まれたバングルがあった。