アジアン・プリンス
(47)プリンスの花嫁(最終話)
更にその半月後――。

アサギ島のプライベートビーチに真紅のロールカーペットが敷かれ、ウエディングロードが作られた。

簡易的な祭壇に本島から連れてきた神父が立ち、ビーチが教会に早変わりする。


もちろん、ティナの家族も呼ばれた。

私利私欲のために大喜びしている父はさておき。母と兄は、花婿が代わったことに驚きながらも祝福してくれた。


取り分け、何も知らされていなかった妹のアンジーは大騒ぎである。


「信じられないわ! 姉さまがアジアン・プリンスの花嫁だなんて!」


ティナは“純白”のロングトレーンドレスに身を包んでいた。

極上のシルクは、彼女の体にピッタリ沿って流れるようなラインを描く。正式な教会ではないので、肩の露わなビスチェタイプであった。

不必要に肌を隠してきた8年間が嘘のようだ。


< 232 / 293 >

この作品をシェア

pagetop