アジアン・プリンス
レイはティナとの婚約を発表し、8年前の事件の解明に乗り出した。

各方面に協力を呼びかけ、FBIも捜査を開始する。

結果、犯人はすでに別の事件により、収監されていたことが判明。そして犯人には、ティナに対する誘拐・監禁・わいせつ行為など、時効にならないものは全て刑期が加算される。模範囚となっても、百歳を過ぎるまで釈放されることはないだろう。

問題は世界中に散らばった画像だ。

それらすべてに関してレイが取った手段は――流布した個人・団体には国に応じて刑事罰を要求すること。民事では差し止め請求し、慰謝料を含む法外な損害賠償金の請求を公言したのだ。

一国の王妃の名誉に相当する慰謝料……それだけでかなりの抑止力となった。


そして……レイに守られ、ティナにも変化が現れる。

これまで、被害者であるのに怒ることも泣くこともできずにいた。まるで彼女自身が罪を犯したかのように人目を避け、口をつぐんで生きてきたのだ。

彼女の孤独と苦悩は見る間に取り除かれていき……。


そして2日前、レイの懇願により、ティナはセラドン宮殿のプールで水着姿を披露した。

ところが、そんな水着姿の彼女を見るなり、レイは天を仰いだ。


『しまった。手足をくくってプールに放り込まれた気分だ』

『あら? それって期待はずれってこと?』

『期待以上だ。私の下半身は不適切にも……君のプールで泳ぎたいと言っている』 


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