アジアン・プリンス
レイが挙式にこの島を選んだ理由……それは兄のためだった。
“歴史を繰り返さない”その強い決意を、望まぬ人生を強いられた兄に、見届けて欲しかったという。彼は王族の婚姻に頼り過ぎた、歪んだ国策の被害者なのだから、と。
だが、ティナは思う。
犠牲者が自分だけではないことを、シン国王は知っていたのだろうか?
そんなティナの疑問にレイはこう答えた。
『王族には果たすべき義務がある。そのために与えられた権利だ。逃げるのではなく、違う解決法を提示する責任があった。兄は被害者ではあるが、犠牲者ではない』
レイの言葉の微妙なニュアンスに、彼の複雑な胸中を察するティナだった。
「やあ、ティナ! 今日の君は素晴らしく美しい。君のようなプリンセスを迎えられるレイは、本当に幸せ者だね」
「ソーヤ! いえ、ソーヤ殿下。そう呼んでもよろしいでしょうか?」
ティナはおどけた口調で言う。
「えっ? いやあ……」
ソーヤは紅茶色の髪をかき上げながら、苦笑したのだった。
“歴史を繰り返さない”その強い決意を、望まぬ人生を強いられた兄に、見届けて欲しかったという。彼は王族の婚姻に頼り過ぎた、歪んだ国策の被害者なのだから、と。
だが、ティナは思う。
犠牲者が自分だけではないことを、シン国王は知っていたのだろうか?
そんなティナの疑問にレイはこう答えた。
『王族には果たすべき義務がある。そのために与えられた権利だ。逃げるのではなく、違う解決法を提示する責任があった。兄は被害者ではあるが、犠牲者ではない』
レイの言葉の微妙なニュアンスに、彼の複雑な胸中を察するティナだった。
「やあ、ティナ! 今日の君は素晴らしく美しい。君のようなプリンセスを迎えられるレイは、本当に幸せ者だね」
「ソーヤ! いえ、ソーヤ殿下。そう呼んでもよろしいでしょうか?」
ティナはおどけた口調で言う。
「えっ? いやあ……」
ソーヤは紅茶色の髪をかき上げながら、苦笑したのだった。