アジアン・プリンス

(3)アズル・ブルーの罪

「ああ、そうだった。レイのブロンド好きは昔からだもんな」


レイが黙り込んでいるとソーヤがとんでもないことを言い始めた。


「英国留学中に僕が訪ねたとき、付き合っていた彼女も……モナコやニースで遊んだときも、ああ、それにハリウッドのなんとかって女優も金髪碧眼で」

「ソーヤ! いい加減にしないか。そのことをひと言でもティナに話したら、ただでは済まないぞ」


本気で怒って見せてはいるが、どうもレイはソーヤには甘い。

母が違っても、10ヶ月しか離れていなくても、やはり兄と弟なのである。


「過去の女性に関して、ティナには一切話すつもりはない。また、その必要もない。――そう言えば、お前は黒髪と黒曜石の瞳を持つ女性が好みではなかったか? レディ・チカコに伝えておこう」


「ティナにベスのことを話すぞ――」


3秒ほど、アズル・ブルーの双眸は睨み合う――


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