アジアン・プリンス
「誰だ!」


膝に触れた温かさは、間違いなく人間にものだ。それもこんな風にベッドに潜り込むとなると……女。


レイは一気に掛け布を剥ぎ取った。


「きゃっ!」

「ティ……ナ、何をやってるんだ」


ハーフカップのブラジャーと、サイドを紐で留めるタイプのショーツを身に着けている。

上下とも純白で……ティナの白磁色に艶めく肌のほんの一部分を隠してた。


「あの……やっぱり、夫婦は一緒に寝るべきだと思って」


掠れるような声でティナは答える。

だが、レイには訳がわからない。いくら彼が辛抱強くても、隣で寝息を立てるティナを抱かずに過ごせる訳がない。

別室で眠るのはティナの希望を叶える為だった。

ハネムーンで初めての夜を過ごす為に、この数日間だけ寝室を分けたのである。

ティナも了解したはずだ。


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