アジアン・プリンス
『今日は忘れないように……。だが、もう不要かも知れない。――愛を込めて R.J』


(……?)


首を捻りながらティナが箱を開けると、中には避妊具が……12個入りだ。ティナは可笑しいやら、恥ずかしいやらで、クスクス笑い転げてしまった。


そのときだ。玄関前に車の停まる音が聞こえた。


(レイだわ!)


ティナは大急ぎで廊下を横切る。

ヘリで来ると言っていたけど、船になったのかも知れない。それか、森の向こうでヘリを降りたか……。

玄関を開けた瞬間、ティナは叫んでいた。


「レイ!」


だが、一瞬でティナの表情が凍りつく。

ストレートのブロンドを靡かせ、車から降りて来たのは……エリザベス王女、その人だった。


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