アジアン・プリンス
暴れて逃れようとするティナを強引に抱き締め、キスを続ける。

レイの攻撃にティナが降参するのは時間の問題だった。


唇が離れたとき、ティナはもう喚いたりはしなかった。

ただ……泣くだけだ。レイが優しく触れれば触れるほど、ティナの切なさは募る。


「ティナ……君のその早とちりは、いつになったら治るんだい?」

「え? は、や……とちり?」

「ゆっくり、落ち着いて思い出すんだ。エリザベスの辞書に『愛と節操』の文字はないが、『打算』はたっぷりある。そんな彼女が、不用意に私の名を出すはずがない」


レイに断定され、ティナは記憶を辿ってみる。


エリザベスは『血の繋がったアーロンを全く無関係のアメリカ人男性の息子にしてしまった』と言ったのだ。

その前後も『レイの息子である』とはひと言も発してはいない。


「アズル王族男子の髪はブラウン系がほとんどだ。濃淡は人によって違うが……。いいかい、ティナ。アーロンが私の息子なら、私は迷わず12年前にエリザベスと結婚している」

「で、でも……じゃあ、どうして今なの? 今になって」

「話せば長い。そして、王室の醜聞になる――」


そう前置きしてレイは話し始めた。


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