アジアン・プリンス
レイにすれば、それだけが心の拠り所であったはずだ。父親の愛を得られなかったのは、国策により引き離された女性に対する愛情だ、と。

だが、それすらも偽りだった。

真実が突きつけられ、レイも傷ついているはずなのに。


「ティナ……エリザベスのことは」

「もういいの。もう、何も言わないで。私のこと、愛してくれているでしょう?」

「ああ、もちろん。神に懸けて、君だけだ」

「だったらいいわ。15歳のあなたを許してあげる」

「それはありがたい。だが……私は14歳でイギリスのバークシャー州にあるイートンカレッジに入れられた。帰国は年に数回だ。その中でコテージを訪れたのは3度だけ、それも常にフサコ王太后のお供だった」

「え……?」


ティナは一瞬でエリザベスに騙されたことを知った。頬が熱くなる。


レイは軽く微笑みながら、ティナの手の平に口づけ、右手を軽く自分の胸に当て囁いた。


「マイスウィート――君に誓うよ。私がこれからすることで、ミズ・ジョーンズから学んだことはひとつもない」


その言葉が終わるやいなや、レイはティナを抱き上げた。


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