アジアン・プリンス
「本当よ……本当に初めてなの。本当に、8年前には何もなかったのよ」


ベッドにクッションをたくさん置き、それを背もたれにしてレイは座っている。そのレイの腕の中にいるのがティナだ。


1度目から2度目へは、間を空けずにふたりは進んだ。

片時も離れたくはなかった。ティナにとって、初めての経験は恐ろしいほど素晴らしく、彼女を虜にしたのだ。

同じベッドの上で、指だけで愛されたときとは比べ物にならないほど、レイは素敵だった。


2度目が終わり、ふたり一緒にシャワーに向かおうとしたとき、ティナは気づいたのである。

シーツにそれと言える証が何もないなんて……。

しかも、ティナは最初から最高の快感を経験してしまった。それはどう考えても、ティナがたくさんの経験を積んできているみたいだ。


(レイがもし、私のことを嘘つきだと思ったら?)


ティナはレイに疑われるのが何より恐ろしい。


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