アジアン・プリンス
無論、マスコミも薄々感づいてはいる。

しかし、正式発表がない以上、迂闊なこと書くわけにはいかないのだ。小国とはいえ、相手は王族。下手をすれば国際問題に発展する。


「プリンス・レイが王妃さまを探してるって話だけど……。国王さまってもう40歳なんでしょ? あたし、プリンスのお妃になら、なってもいいのになぁ」


ティナはドキッとした。

心の中を見透かされたみたいた。多分、頬も赤くなってるだろう。アンジーが目の前にいなくて良かった、とホッと息を吐いた。


「皇太子殿下には婚約者の方がおられるのよ。馬鹿なこと言わないで」


それは自分に言い聞かせる意味もある。どんなにときめいても、あの人には決まった女性がいるのだ。


「え~。でも、2回もプリンスをドタキャンしたんでしょ? ホントは結婚したくないんじゃないの?」

「え? ドタキャン? どういうことなの?」


世間のことには興味を示さず、象牙の塔で学問に勤しんできたティナには初耳だった。

アズウォルドのことも、地理や歴史書で得た知識しかない。皇太子のことも、今回の話しがあって、初めてタブロイド紙を集めて読んだくらいだ。


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