アジアン・プリンス
アズウォルド王国空の玄関は、海上に建設されていた。

ティナはその近代的な空港に降り立ち、本島までは王室専用船で渡った。


確かに、彼の言うとおり、アズウォルドの海は深い青だ。しかし、レイに『ビーチはもっと美しい』と言われ、ティナは困惑していた。


(レイは私をビーチに連れて行くつもりなの?)


常夏の島に来ながら、ティナは水着を持って来てはいない。いや、あっても着るつもりもなかった……つい昨日までは。


ティナはこの国に降り立った直後から、パンツスーツのジャケットが脱ぎたくて堪らなかった。

アズウォルドの暑さは予想外だ。皇太子であるレイやお付きの人たちは、さすがにきっちりスーツを着込んだままである。

だが、地元の人間や観光客は皆半袖でラフな格好をしていた。


水着はなくとも、半袖シャツくらいは持ってきている。

宿泊先のホテルにチェックインしたら、すぐに着替えようと考えていた。


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