アジアン・プリンス
女官長はニッコリ笑って裏手側の窓を指し示した。
緩やかな坂を上った小高い丘の中腹に、セラドン・グリーン……青磁色の上品な建物がある。
「では、あそこに行けば殿下に会えるんですね」
「あぁ、いえ、今は……。開発大臣とともに第2号油田の視察に向かわれたのではないでしょうか? 何か事故があったと」
「事故! 油田で事故って」
「油田ではなく、作業員の事故のようです。ご帰国をお待ちしてからのご報告でしたので、大事はないと思われますが……」
アメリカでは忙しなく色んな行事に出ていたようだ。1週間の予定を5日に切り上げた、とニュース番組で聞いた気がする。
どうしてそんなに急いで、ティナをこの国に連れて来たのだろう?
兄である国王の妃になって欲しいと彼は言った。でも、そんな女に、大事なバングルを渡すなんて……ティナはどうしても直接会って、レイに尋ねたかった。
緩やかな坂を上った小高い丘の中腹に、セラドン・グリーン……青磁色の上品な建物がある。
「では、あそこに行けば殿下に会えるんですね」
「あぁ、いえ、今は……。開発大臣とともに第2号油田の視察に向かわれたのではないでしょうか? 何か事故があったと」
「事故! 油田で事故って」
「油田ではなく、作業員の事故のようです。ご帰国をお待ちしてからのご報告でしたので、大事はないと思われますが……」
アメリカでは忙しなく色んな行事に出ていたようだ。1週間の予定を5日に切り上げた、とニュース番組で聞いた気がする。
どうしてそんなに急いで、ティナをこの国に連れて来たのだろう?
兄である国王の妃になって欲しいと彼は言った。でも、そんな女に、大事なバングルを渡すなんて……ティナはどうしても直接会って、レイに尋ねたかった。