アジアン・プリンス
シン国王とレイ皇太子は異母兄弟だった。


今から40年前、兄弟の父親である先代国王が皇太子だったとき、アメリカ人女性との婚約を一方的に解消した。

そして、留学中に恋に落ちた日本人女性との結婚を決めたのである。それが、チカコ・サイオンジ。彼女は妊娠しており、当時カトリックに改宗したばかりの祖父は、渋々チカコとの結婚を認めた。

だが、3代に渡りアメリカ人女性を王妃にできなかったアメリカは面子を潰され、アズウォルドへの支援をストップしてしまう。

政治的に行き詰る中、チカコが夫をそそのかし身内企業を優先したことが発覚。

祖父はそれ理由に『国家に対する背任行為』で、強制的にチカコと皇太子を離婚させた。

その後、迎えたのがレイの母であるルビー・ハミルトン……ルビー王太后である。


伝家の宝刀を抜かれ、一旦は王命に従う父だったが……。

チカコが子供を盾に、アズウォルド12島のうち日本に1番近いアサギ島に留まると、父もそこに通い始めた。

その結果、ルビーがレイを産んだ翌年、なんとチカコにも次男ソーヤが産まれたのだ。

離婚後に産まれた彼は、プリンス・ソーヤとは呼ばれない。庶子の扱いとなり、母方のサイオンジ姓を名乗っている。現在は海軍中将だ。


だがそのことに、先々代国王であった祖父は怒り狂った。


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