アジアン・プリンス
とりあえず、ティナはそのまま元の応接間に戻った。そして、テラスの大きな窓を開け、中庭に下りる。


(こっちに来たはずなのに……どこに行ってしまったの?)


口の中でブツブツと呟きながら、ティナは裏庭を奥へと進んだ。

垣根の向こう側は確かプールだったはずだ。こんな時間に泳ぐ人間もいないだろうが。そう思いつつも、何気なく小枝を掻き分け覗き込んだ。

そんなティナの目に飛び込んだのは、ネクタイを解き、真っ白いシャツを脱ぎ捨てるレイの姿だった。

日に焼けた褐色の肌が夜目にも眩しく……ティナは声を掛けるのも忘れ、見惚れていた。


「誰だっ!」


気配を感じたのか、レイは振り向き、鋭い声で尋ねる。


「あっ……。あの、おかえりなさいませ。えっと」


あまりに間の抜けた声に、ティナは自分が恥ずかしくなった。

棒立ちになりながら、目は半裸のプリンスに釘付けだ。失礼だとわかっていてもレイから視線が離せない。


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