アジアン・プリンス
ティナは信じられないほど長い廊下を歩かされ、応接室に案内された。

外観とは違い、内装は洋風だった。中に入ってしまえば、窓から見える景色は、テレビ画面のように思える。

さながら、液晶画面に映し出された異国をボンヤリと眺めつつ、ティナはひとり佇んでいたのだった。


お茶やコーヒーはおかわりが出てくる。

だが……ここに来てすでに1時間近くが経過していた。

レイは着くなり、先に陛下にご挨拶に行って来る、とティナの元を離れた。そのまま、何の説明もなく放置である。

レイには望まれたものの、国王は妃を必要としていないのかもしれない。そんな考えがティナの脳裏をよぎる。


(ひょっとしたら……国王さまには会えないまま、アメリカに帰ることになるのかもしれないわね)


そんなことを考えたとき、ドアが乱暴に開き、黒髪の女性がツカツカと入って来たのだった。


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