モノクロな僕と君


さっきまでと同じ調子に言われた言葉に一瞬頭が内容を理解できず、つい脳内でさっきの言葉を復唱してしまい不快感が一気に跳ね上がる。

「・・・いらない。」

笑みを浮かべながら話しているような調子の父さんに対し、逆に俺は誰が聞いても分かるくらいの不快感を露わにした声で返事をした。

「明日、期限までに借金を返せなかった家から娘を預かるんだが、これが結構良い女らしいぞ??」

何が“預かる”だ。“奪う”の間違いだろう??

「いらない。兄さんにでも送ればいい。」

心の中で毒づきながら、さっきより強く否定する。


しかし・・・


「黒龍に拒否権はないよ。」


これがこの社長の裏の顔。


「もう決めたんだから。」


表面上は人望の厚い、人当たりの良い社長。


「・・・」


裏では借金の返せなかった家から娘を取り上げて、返済が済むまで自分に奉仕させる汚い男。

もちろん返済の目途がつかないようなら一生そのまま、だ。

この女に飽きたと喚いていると思えば、次の日には新しい女を連れてくる。

連れてきた女は最初俺か兄さんの所に送られ、反抗する力が無くなるくらいに“堕とす”のだ。

「拒否権がないと知っていながら俺に伝えに来たんですか??」

嫌味を含んだ俺の言葉にも気にすることなく笑いながら、

「言わずに送っても黒龍は怒るだろ??」

と言うこの男が俺は嫌いだ。









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