叶わない恋。
「「ありがとうございました」」
「ごめん、桐ちゃん…。」
ベンチに戻ってきた夏希は俺に頭を下げた。
『何謝ってるんだよ??
お前だけのせいじゃない。
全員の練習不足が原因なんだって。』
俺は俯いている夏希の頭に手を置いた。
「でも…あたしが……」
夏希は俯いたまま何かを言おうとした。
でも
『お疲れ様です、夏希。』
島先生が夏希の言葉を遮った。
目に涙を浮かべながらも必死で笑顔を作ろうとしている島先生。
見てるこっちが苦しくなるような
そんな顔。
「………大ちゃん。」
夏希は帽子のツバをギュッと握って顔を隠しながら俺たちのほうを見た。