叶わない恋。





『これで肩、冷やして下さい。』


島先生は笑顔を浮かべたまま氷の入った入れ物を夏希に差し出した。


「うん、ありがと。」


夏希は素直に受け取る。


『みんな、早く片づけろよ。


ミーティングやるからな。』


俺はベンチで俯いているみんなに叫ぶ。


部員たちは黙ったままそれぞれ片づけを始めた。


ベンチが重苦しい雰囲気に包まれている。


俺と島先生は相手ベンチへ行く。



『石原先生。』


こちらのチームは俺たちのベンチと反対で明るい。


『あっ、桐島先生と大じゃないですか。


今日はありがとうございました。』


石原先生はそう言って頭を下げる。


俺と島先生も


『『ありがとうございました。』』


と、言って頭を下げる。



『やはり海道夏希は噂通りのすごい選手でした。


負けるかと思いましたよ。』


俺は勝てると思ってた。



勝てると信じてた。



でも、





でも、






俺たちは



















…負けた。










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