叶わない恋。





「桐ちゃんさ、5文字の手紙って知ってる??」


あたしは沈んで行く夕日を見つめながら桐ちゃんに聞いた。



『5文字の手紙??

初めて聞いた。』


桐ちゃんはちょっとふてくされながらも答えてくれた。



「聞いたことないよね?やっぱり。


あたしもビックリしたし。」


クククッと笑うあたし。



桐ちゃんは生意気だな、とでも言いたそうな顔だ。



『俺もビックリした。』



「自分が書いたくせに?」


チラッと横目で桐ちゃんを見たあたしはフッと鼻で笑った。


自分がたった5文字の手紙をあたしにくれたんだよ?


なのにビックリした、ってなんですか…?



『だって書ききれなかったんだもん。』



「”もん”って女かよっ!!」


あたしは笑いを耐えきれなくなりケラケラと笑った。


桐ちゃんは複雑な顔をしている。






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