叶わない恋。
「桐ちゃんには弱い自分を見せたくなかった。」
涙で震えそうになる声。
桐ちゃんはまだ、気づかない。
【ゴクッ】
桐ちゃんが唾を飲み込んだのが分かる。
『お前にとって俺って何??』
なぜか桐ちゃんの声は震えていた。
もしかして桐ちゃん、泣いてる??
「桐ちゃんにとってあたしって何??」
とてもじゃないけど言えるワケがなかった。
”桐ちゃんはあたしにとって、かけがえのない人だ”
なんて。
だから、あたしは逆に桐ちゃんに聞いた。
『夏希は俺にとって……
……命にも代えられない大切な人だ。』