叶わない恋。
『夏希?
俺、近くにいてやれないけど応援してるから。
それにお前のここにはいつも俺がいる。』
桐ちゃんは自分の胸に手を当てた。
あたしも胸に手を当てる。
確かに、そうだ。
あたしの胸の中には必ず、桐ちゃんがいた。
「え?何言ってんの、桐ちゃん。
あたしの胸の中に桐ちゃんなんていないし!」
あたしは桐ちゃんに背中を向けた。
後ろから桐ちゃんの溜め息が聞こえる。
『素直になったかと思ったら、すぐまたこれか?
ホント、お前といると疲れるよ…。』
桐ちゃんはそう言ってあたしの肩に手を置いた。
悪かったね、桐ちゃん。
でもこれがあたしなの。
そんなこと、分かってるでしょ??
『でも、そういうところも…』
「うわっ」
『好きだけどな?』
あたしを引き寄せて桐ちゃんは耳元で囁いた。