叶わない恋。




それから次に印象に残ってるのは猫かぶり事件かな。



あたしはいい子だ、って桐ちゃんは思ってたらしいけど残念ながら違う。


初めて桐ちゃんを桐ちゃん、

って呼んだとき、



『お前は猫かぶってたのか…。』


って桐ちゃん、落ち込み気味に言ってたよね。


ごめん。



ホントにマジで猫かぶってるつもりはなかったんだよ。



ただあの落ち込み気味の桐ちゃんの顔は最高に格好良かった。


そんなこと思いたくなかったけど、胸がドキッと高鳴ったんだ。



でもまだあのときは好きじゃなかったと思う。


あ、でもいつから好きとか考えたこともないから分かんないけどね。




桐ちゃんはあのこと、まだ覚えててくれてるかな?


彼女にフラれた桐ちゃん。


次の日、目を少しだけ腫らして学校へ出勤。


誰にもそのこと気づいてもらえなくて、淋しそうな顔してた。



誰かに話したい、


って顔に書いてあったんだよ?


だから、あたしは部活終わったあとに桐ちゃんに声をかけた。





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