叶わない恋。
『夏希!』
屋上から出て行こうとしたあたしの背中に声をかけた桐ちゃん。
「ん?まだ何か用??」
振り向かず、足だけをとめた。
『3年後の今日!
夏希が高校を卒業したらここに来て。
俺、ずっと待ってるから!!』
さっき止まったはずの涙が再び流れ出した。
「絶対、来ないから!」
ウソだよ、桐ちゃん。
絶対に来る。
またこの屋上で桐ちゃんに抱きしめられたいから。
最後までひねくれててごめん。
『あと最後にもう1つ!!
浮気すんなよ!』
あたしは片手をあげて答えた。
声をだそうと思ったけれど、うまくしゃべれなかった。
だって涙が邪魔をするんだもん。
大好きなあなたから言われた、
”浮気すんなよ!”
の一言。
どうしようもなく、嬉しかった。