Sweet vioret

Sweet vioret

そもそもあたしも悪い。
咲嶋悠（サキシマハルカ）29歳。
アパレル関係の会社に勤めている。

仕事仲間と呑みに行く事もしばしばあるが、あまりプライベートまで仕事を持ち込みたくなかった。


5年と3ヶ月前のある日。
お気に入りのバーを見つけた。
週４ペースで通ってしまっている。



ぐぐんと暗くて照明が間接的にしかないのに、空と海が混じっているような不思議な絵が書いてある天井がキレイに見える。外とは違う雰囲気。



「いらっしゃい」
「こんばんは〜」
いつものようにマスターに挨拶をしてカウンターに座りカンパリオレンジを頼む。

そしてグラスを天井にかざすように傾けて一人ぼそっと呟く。
「夕焼け〜」
仕事明けの至福のひと時。


たまには食事もしながら一人でお酒を楽しんでいた。
煩わしいものは何もない。