Sweet vioret
「なぁ、ハルちゃん。」

「なぁに?てっちゃん」

てっちゃんとはマスターの事。

「余計な事かもしんねぇけどさ、いっつも一人じゃん??カレシとか作んないの?」

カウンター越しに心配そうなてっちゃんの顔が見えた。

「今はここが居心地いいんだもん。カレシなんかいらないよぉ。てっちゃんもいるしねぇ」

グラスをてっちゃんの口元に向けて飲ませてあげる。

「あらぁ☆嬉しい事言うわねぇ。あたしもハルちゃんがいるから彼女いらないっ」

「あははっ!女言葉キモ〜い!!」

「なんだとぉ!」


この人はあたしのよき理解者だ。

ちゃんと空気を読んでくれる。

みんな他人の考えなんて読めないから空気も読めないのは当たり前って思ってたけど、てっちゃんは何か違った。

あたしの言葉をちゃんと噛み下して頭の中に入れてから、あたしが求めている言葉をくれる。




そんなふざけた事を言い合っていたあの日。





出逢ってしまった。


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