Sweet vioret
「楽しそうだなぁ。
マスター!今日もうまかったよ。また来るよ」

数人の客の一人がカウンター越しにあたしと話をしていたマスター(てっちゃん)に話しかけた。

「こちらこそありがとうございます!またお待ちしてます!」

マスターが客に笑顔を向けて答える。


てっちゃんと客とのやり取りを横目で見ながら甘ったるいカルーアミルクに口をつけた時、視線を感じた。


「あ、咲嶋さん…?じゃないですか?」

声がした方に振り返ると見覚えのある顔がいた。



「あ…、どうも、お世話になってます…。」

「何?お二人さん知り合い?」

てっちゃんが不思議な顔をしてあたしを見る。


「咲嶋さんのいる会社、僕の会社の取引先なんですよ。」

取引先の男がてっちゃんの不思議顔に答える。


「でもよくわかりましたね。2、3度しかお会いしてないのに…」

そしてこんな暗い店…って言おうとしたけどてっちゃんにつっこまれて話が広がるからやめておいた。

「わかりますよ。仕事で一度でもご一緒したら忘れないですから」

「へぇ。それはまたいい体質ですねぇ」

「体質って…!」

しまった…思わず軽くつっこんでしまった。
つっこまずに軽〜くその場を流して呑みを再開しようとしてたのに…。

「はははっ!さっきから二人楽しそうでしたよねぇ」
取引先の男は笑いながらあたし達を交互に見る。
「そうですかぁ?普通ですよ」


てっちゃんは終わらせようとしてくれてる。

あたしの気持ちをわかってくれてる。


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