Sweet vioret
ほんとなのに。
澤野さんはカウンターに何かを取りに行った。
一人になった気がして急に悲しくなった。
想いが通じないかもと思って胸が苦しくなった。
そして
てっちゃんも
澤野さんもいなくなったような。
誰もあたしを必要とされないような不安が襲ってきた。
酔っ払っているせいかもしれない。
ぽろ。
ぽろぽろ。
涙がこぼれていた。
「…好きなのに」
小さく口に出した。
「悠ちゃん?」
頭上から声がして声のする方へ顔を向けた。
タオルを手に澤野さんが驚いた顔をしていた。
でもすぐに表情が読めなくなった。
顔がすぐそばにあったから。
キスをしていた。