英国喜劇リトレイス
「だって私は森の奥底にひっそりしてるま――」

「うわわわ! 言うな! 誰か聞いてたらどうする!」

「……むぎゅぅ」

「ディゼル、それは息止まるって!」


セルマの口を手で塞ぐ俺とその俺を羽交い締めにするイアン。

そんなごちゃごちゃしてる俺たちに嘲るかのような声が降った。

「何を遊んでる。そんなんで着かなくなったらどうするな」

「「あ?」」

俺が振り返った一歩あと、イアンが振り返る拍子、奴の腕に力がこもった。

となると、俺はもちろん上に引き上げられる訳で。

すると、俺の手が巻き付いたセルマの首が上にぐきっと――


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