英国喜劇リトレイス

引っ張り込まれて、会議用テント。
俺たちが入ると、将軍たちはいっせいに立ち上がって礼をした。

「おはようございます」

「ん、おはよ」

「さて、始めるな」

席に着くと、一人が神妙な顔で立ち上がった。


「恐れていたことが起きました」

「!?」

何のことだ? 昨日はそんな話出なかったのに。

「…脱走、か」

「は?」

レイモンドの呟く声に、だいぶ間抜けな声を上げたのだろうか、イアンから呆れた視線が送られたのがすぐさま感じられた。

「戦場ではよくあることですよ。覚えておくといいですね。…戦いの恐怖に駆られて夜のうちに逃げ出す者がいるんですよ」

レイモンドの目には、どんな感情も読み取れない。
ってか、新しいモノクルを調達したのか。早いなこいつ。

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