英国喜劇リトレイス
バッカスは前を向いたまま語気を荒くしていく。

「土地を奪い、人を奪い、新たな戦争に連れ出すことのどこが押さえつけることと違うというんだ?」

ハッとして、俺は足を止めた。
遅れに気づいて、バッカスも振り向く。

「…何をしている」

「お前、もしかして…」

「早くこい」

つまらなそうに手を振って、バッカスはまた前を向く。

イアンを見ると、確信を持った顔で頷いた。

バッカスは多分、支配されたこのアイルランドの人間だ!


……来た。
探していた切り口が、今目の前に!

歓声を上げたい気持ちを押さえつけ、俺たちはようやくテントに着いた。


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