英国喜劇リトレイス
夜
俺とイアンは例のテントに足を向けていた。
「連絡は?」
「良好。何だよ、セルマに会えなくて寂しいのか?」
「なっ!!」
んだって! と言うのを喉までで抑える。
意地悪くにやぁと笑うと、イアンは話を続けた。
「順調だと。もう片方も」
「ロシュに動きは?」
「ないみたいだ。セルマも何にも言って来ないし」
実は、ロシュにはセルマの魔法がかけられていたりする。
『……呪根(シュコン)って言う。魔法の見えない根を体に張ると、私が設定した行動を取れなくなるの』
とか言ってた。