英国喜劇リトレイス
「あそこに入ると、なんか変わるのか?」
「待遇は全然違うさ。何より、暮らしがね」
「……」
先輩は純粋に羨ましく、赤を基調とした防具に身を包む隊の司令塔たちを見つめていた。
暮らし……それを手に入れることすら難しいなんて、俺には想像も出来ない。
「行きたいのか?」
「それはよくわからないな。こんなご時世じゃ、兵士は農奴よりも短いかもしれない」
何がって、そりゃやっぱり…
俺は、意を決した。
そして組み手に見せかけ、先輩の懐に入り俺は囁く。
「……今夜出来るだけ仲間を連れて、人気の少ないテントに集まってくれ」