英国喜劇リトレイス
でも、だからといって俺の気持ちが変わる訳じゃない。
「構わないんだよ。俺のことなんか。
どんな手を使ったって俺は……俺は、ぐはっ!」
痛い。
突然地面に倒された俺は文句を上げてぶつかったものを見た。
「おう、悪いな兄ちゃん」
生憎おっさん。
さらりと謝ると他の人の行く先を見ながら走って行った。
いいところだったのに!
俺今大事なこと言おうとしたのに!
「前見て走れこの野郎!」
「ディゼル…涙声で言われても」
「うるせえ!」
しかし、なんか気付かない間にこの道の人通りが一気に増えた気がする。
辺りを見回すと……気のせいじゃない。
確かに人が増えた。