英国喜劇リトレイス
「スコットランドだ」
セルマの眉がピクリと動いた。
「じゃあ…」
「ああ。そういうことだよ」
イアンは大きく頷いた。
え、なに何なの
つか何でこういうときには息が合ってるんだこの二人。
「スコットランドは、昔は別の国。宗教も違った。この国の宗教を強制されて、普段から不満が溜まってる」
「何…?」
わからない。
でも、何かが少しずつ見えてきた気がする。
「反乱の始まりもスコットランドだ。つまり──民が王を倒して国を再生しようとしてるなら」
「貴方の兄は民に狙われてる可能性が高い」
セルマが先を綴ったとたん、俺は奈落に落とされたような気がした。