Sweet secret
たまに痣になって残る場合もあった。

それでも私は学校に行った。行かないと暴力を振るわれると思ったから…

学校にも友達にも話さなかった。

唯一話したのは叶華だけで周りには必死に隠してきた。

世間にバレなければ母が批判されることもないし、いつか元に戻ってくれると信じていたかった。

その思いは通じなかったけど…

暴力は私が中学を卒業するまで続いた。

家を出て一人暮らししたいと言ったときもあの人は清々するとさえ言っていたくらいだ。

最初に暴力を振るった時から愛情というものは消えていたのだろう。

そんな人でも私の母には変わりなく…

高校に入って初めて声を聞く。

「…絢乃?」

あのときと何ら変わらない冷たい声…

「うん。久々に声聞きたくなって…」

「そんなことしてる暇があったら勉強でもしなさい。電話なんて迷惑だわ。」

強制的に切られた電話…。

…そうだよね。人なんてそう簡単に変われるものじゃないよね。

私は必要のない子、要らない子なんだもん。

今更電話した私がバカだった…。

頬を伝う涙…

暴力を振るわれたときでさえ、泣いたことなんかなかったのに…

部屋で独り泣いた…

ただひたすら…
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