「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
その頃、直たちクルーの科学者である郁江が、発信機を修理中に、ひとつの仮説を考えていた。

それは小惑星群が、電波を頼りに移動しているのではないかというのだ。当初、次々と消息を絶った宇宙船は、宇宙船同士の通信を行なっていた。

直たちの活動していた宇宙ステーションも火星や地球と頻繁に通信していたし、その後、小惑星群が向かった火星は地球と多くの通信をしていた。

現在、小惑星群が向かっている地球は、膨大な通信量であり、考えてみると、どんどん通信量の多い方向へ進んで行っているように思える。

そういう理由から郁江は仮説を立てたのだが、自然の小惑星に、そんな事象が発生する訳は無いであろうと、何か別の物体ではないかと考えた。

しかし、地球から発信されている情報を読み取る限りにおいては、他の物体とは考えられない。

実際の小惑星群の写真などの情報は届いていないのだが、地球の優秀な科学者たちが判断しているのであり、小惑星群で間違いはないのであろう。

では、いったい、何なのであろうか。

どう考えればよいのか、行き詰っていた。

その後、地球からは破壊に成功したのか、しなかったのか、何の発信も無く、直たちは、いったい、どうなっているのか情勢が分からずに、航行を続けていた。

それが今から十時間ほど前に、地球上空で小惑星群を破壊するので注意するようにと、警告発信が地球より発せられ、ミサイルによる小惑星群破壊は不成功に終わったのだと分かった。
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