「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
李は自分でマイクを握ると

「私は事務総長の李であります。君たちエウロパの乗員は全員無事ですか」
と問いかけた

直たちは、郁江の努力が実り、今から数十分前に発信装置が使えるようになり、地球との通信を試みたのだった。

郁江は、エウロパ・ステーションに乗り組むまでは、人工知能を持つロボットの研究をしていた。その郁江が発信装置を修理中にひらめいた。

それは、近づきつつある小惑星群は、実際には小惑星群では無いのではないかと思ったのである。

地球の科学者たちが、おそらくは映像や写真なども見ながら、さまざまな角度から検討して、人工物体ではなく、小惑星群であると結論を出しているのである。

しかし、郁江は、どう考えても小惑星群が、より多量の電波を追いかけているように思える。

郁江は以前、さまざまなタイプのロボットを試作していた。

自己判断できる介護用、看護用、警護用、などから家庭教師型やお手伝いさん型など色んなタイプの種類である。

また手や足が必要な障害者の為に、自由に手足が動かせるようにと、人間の脳の考えるのと連動することができるような、人工知能や神経を義足や義手に埋め込んだ物も試みている。

ただ、いずれの場合も特定の範囲内、あるいは専門的な部分での判断能力しかなく、人間のように、ありとあらゆることに対処して、判断できるほどの能力は無かった。

また、創造力を人工知能に持たせるなどということは、非常に難しい問題であった。
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