佳き日に

[1]


閏と琴が買い物に出かけてしまったので、必然的に琥珀は雪と二人きりになってしまった。


黙々とダンボールからコップやお皿を取り出す雪。

琥珀も無言でそれを手伝う。
中からは石けんやタオルが出てくる。

このダンボールにはお風呂に必要なものが入っているのか。

どんどん出てくる生活用品を前にすると、本当にここで暮さなくちゃいけないのか、と実感が湧いてくる。

親にはさっき連絡した。
学校行事の準備でしばらく友達の家に泊まると言えば納得してもらえた。
今は余計な詮索をしてこない親に感謝だ。

ダンボールの中身をあらかた出し終えたところで、琥珀と雪は一息ついた。



「明日からトレーニングしてもらう。」

「トレーニング?」

お茶を淹れようと思ったはいいが茶葉がなく、仕方なしにお湯をそのまま注いでいた琥珀に雪は決定事項のように言った。

トレーニングと言われても、何をするのか分からない。
琥珀がコップを雪の前に置けば、彼は少し苦い顔をした。

「お前・・・お湯そのままって・・・。」

「茶葉がなかったんです。いや、でもこれ案外いけるかも。」

琥珀はくいっとコップの中のお湯を飲んだ。

「あ、無理ですね。」

「だろうな。」

雪は苦笑いしながら紙とペンを取り出して何かを書き始めた。


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