佳き日に
[5]
生きるために必要なこと。
お金だとか、愛だとか、適応能力だとか色々な意見はあるだろうが、閏は一つ付け足したい。
調理技術。
必要だ、絶対。
水を淹れすぎてもうスープのようになってしまったカレーを閏は黙って見つめている。
ゴロゴロと不規則な大きさのじゃがいもやにんじんも見える。
ただ、どう甘く評価しても、美味しそうには見えない。
閏には味なんて分からないが、見た目の問題だ、これは。
「食欲・・・湧かないな。」
雪が目の前のでろでろとしたスープ状のカレーを見ながらそうポツリと呟いた。
「やべーし。薄目で見ても全然美味しそうじゃないし。」
「それは相当だな。」
一向にカレーに手をつけようとしない琴と雪。
それまでだんまりを決め込んでいた琥珀がガッと勢よく一口口に含んだ。
おぉ、と感嘆なのか驚きなのか声が上がる。
じっと琥珀の反応を窺う。
五回ほどよく噛み、飲み込んだ後、琥珀は顔を上げゆっくりと口を開く。
「カレーの味です。」
「知ってるし。」
間髪入れずに琴が雪と閏が思っていたことと同じことを言う。
えぇっ!と琥珀はそれに少し困った顔をする。